美味しいうどんを作ろう!

コシ・つるみ・のどごしとは

「コシ」「つるみ」「のどごし」製麺において非常に重要なキーワードです。
コシとは弾力、つるみとは麺をすすって食べた時の食感、のどごしとは麺が喉を通る時の感覚。
弾力は精密機械で測定でき、数値化できる客観的なデータと言えます。つるみとのどごしは数値化が難しい五感で表現されるものです。
一般的に美味しいと呼ばれるうどんはこの3つの要素のバランスだと考えます。
コシが強すぎるとのどごしが悪くなり、つるみを強調させるとコシが感じにくくなります。
私の考える美味しいうどんの定義とは「適度なコシがり、しなやかな麺線で、生地に密度があるうどん」これが私の結論です。

 

加水率とは

食塩水を中力粉に加えることで「うどん」が出来上がります。
一般的に50%の加水率が失敗しにくいとされています。
50%とは500gの小麦に対して食塩水250gを加える事を指します。
これを45%や55%と加水率を変化させることで、うどんの出来上がりも変化します。
加水率を低くすれば、麺に密度が生まれ、コシが強い麺ができるメリットがあります。反面、水分が少ないので生地がまとめにくく、手ごねするには難易度が上がります。
加水率を高くすると捏ねやすく、しなやかでしっとりとした麺ができます。しかし、コシが感じにくくなるのが弱点です。
加水率が低い麺を低加水麺、高い麺を多加水麺と呼んでいます。
低加水麺・多加水麺、どちらにも良い所・悪い所はありますが、それを補うために「塩水濃度」や「熟成時間」をコントロールします。

 

加水率の決め方

私がオススメする方法は加水率50%塩水濃度12%と基準を決め、水回し後、生地がまとめやすいかまとめにくいかを判断します。
まとめにくい場合は加水を増やし、まとめやすく出来上がりにさらにコシを出したい場合は加水を減らしていきます。
中力粉の性質・塩水濃度その日の温度・湿度・水回し具合等、様々な要素で同じ加水率でも麺の出来上がりは変化します。
しかし、麺の質を最も左右するのが加水率なので、確定した加水率を基準にその他の要素を細かく変化させることをおすすめします。
使用する中力粉に対して適正な加水率を決定することが麺の性質をコントロールするのに早道だと考えます。

 

食塩の役割

塩を加えずにうどんを打つと非常に軟らかい生地が出来上がり、茹でると麺線が切れやすくなります。塩は非常に重要な役割があり、コシと密接な関係があります。
うどんのコシとは「グルテン」が網目構造を形成することによって表現されます。グルテンとはたんぱく質の一種である「グルテニン」と「グリアジン」に水を加える事で網目構造を形成し、グルテンになります。その網目構造を更に頑丈にするため「塩」を加えることが有効とされます。グルテンはチューインガムの様な状態で潰れにくく、ちぎれにくいです。そこに塩を加える事でグルテンに「張り」と「しなやかさ」がプラスされ「つるみ」「のどごし」の良い麺が完成します。
また、生地がだれるのを防いでくれるので、品質を維持するためにも重要な役割があります。

 

塩水濃度の決め方

塩を加えるメリットは理解できたと思います。しかし、多く加えれば良いわけではなく、適正な分量、更に季節によってコントロールする必要があります。
一般的に10〜15%の範囲で塩水濃度をコントロールします。
気温が高い夏は生地が熱ダレを起こしやすいので13〜15%で食塩水を作ります。
冬の場合は空間だけでなく粉も冷え切っているので10〜12%が良いと思います。
生地は硬すぎても軟らかすぎても良くありません。
適正数値を狙うため、微調整しながら濃度を決めましょう。

 

熟成の重要性

麺で言う熟成とは、パンで言う発酵の工程です。
パンの発酵はイースト菌を寝かし、生地を膨らませる事が目的です。
うどんの場合は鍛え上げたグルテンを休ませ、弾力を引き出すことを目的としています。
「ベンチタイム」休ませるという意味では同じですが、目的が全く違うという事です。
うどんはグルテンの網目構造の出来具合によって、コシ・つるみ・のどごしが変化します。
休ませることがそこまで重要なの?そんなに効果があるの?と思われるかもしれません。
私が考えるうどん作りにおいては最も重要な工程だと考えます。
昨今、様々な計測機械が登場し麺の熟成具合も数値化でき、データを比較分析できるようになりました。
熟成工程を様々な角度から比較すれば、専門的な数値ではなく、シンプルに「美味しい」と感じるうどんへ辿り着けます。

 

熟成は室温に一番影響を受けます。
そのため、熟成庫を購入すれば、熟成温度を一定にでき、一年中一定した麺を打てる確率が高くなります。しかし、自宅で熟成庫を完備することは難しいので、自宅でも可能な簡単で効果的な熟成方法を紹介します。

 

水回し

製麺工程において、最も難しいと言われる作業です。粉へ均一に水を分散させ含ませていく工程で、ここで生地の完成度が決まると言えます。
蕎麦打ちの時は、微妙な水加減が要求されますが、うどんの場合は蕎麦ほどシビアではないと思います。
しかし、その日の湿度によって、水加減は変えた方が良いので湿度が高い時は加水を減らし、低い時は増やしましょう。
そして、水玉ができないように3回に分けて加水していきます。

 

脱気

水回し後、直ぐにまとめず、袋の中で落ち着かせる工程です。
加水率を下げた場合、水分が均一に回ったとしても粉っぽい部分が多く見受けられます。
ここで、捏ねてまとめることもできますが、少し時間がかってしまい生地が乾燥する恐れがあるので、脱気を行うと良いのです。
そぼろ状になっている生地を袋にまとめ15分置くだけです。
生地同士が自然にくっつき、15分後には簡単にまとめられます。
この現象は小麦粉がグルテンを形成しようとする力を利用したためです。
更に袋の中で保管することで水分の揮発を防ぐので、生地がしっとりして捏ねやすくなります。

 

捏ね

捏ね工程のコツは手早く、優しくまとめる事です。
うどんのコシに重要な要素であるグルテンはチューインガムの様な状態で生地の中に存在します。非常に頑丈で弾力があるがゆえに変形しにくいという性質があります。捏ね工程で時間をかけて、力を加え続けてしまうとまとまりにくい状態が続きます。時間がかかってしまうと生地も乾燥してしまうので、手早く優しく行うことを心がけましょう。

踏み&ベンチタイム

手打ちうどんの代名詞ともいえる踏み作業
グルテニンとグリアジンが網目構造を形成することによって弾力・伸展性のあるグルテンが完成します。このグルテンが緻密かつ均一に形成されている事が美味しいうどんへの第一歩。グルテンの特性は力を加えることで鍛えられるため、丁寧な踏み作業が大切です。しかし、限界値を超えると活性化しない側面もあり、ここでベンチタイムを取ることによって、グルテンを緩ませ、再度鍛える事が出来ます。
これを繰り返すことでより弾力のある生地ができますが、やめ時を見極めなければ限界値を超え、グルテンは破壊されていきます。
この見極めが踏み工程において最も重要です。目安として、生地に張りと艶が出た時がベストな引き際です。

 

熟成

手打ちうどんにおいて最も重要な工程だと考えます。
手打ちうどんは「朝練り」「夜練り」の二つの方法があります。朝練りは朝に水回しを行い、2〜4時間で熟成を終え、ランチタイムまでに打ち終わります。夜練りは夜に水回しを行い、そこから6〜12時の長時間熟成を行い、翌日に打ち終わります。
短時間熟成と長時間熟成の出来上がりの違いは香りと食感です。香りは長時間熟成の方が発酵臭のような独特な香りがあり、短時間熟成はフレッシュな香りです。
食感においては、短時間熟成は弾力があり、歯切れが良いです。長時間熟成は麺がしっとりしていて、つるみが良く、粘弾性を感じる麺です。
どちらも甲乙つけがたく、好みの領域と言えます。ただし、夜練りの場合は長時間熟成なので熟成庫で保管し、熟成温度を一定に保たなければ良いうどんはできません。
なので、自宅で手打ちうどんをされる方は短時間熟成をおすすめします。

 

延し

昨今、機械製麺が主流となる中、手延しで行う意義とは?
すかし打ちという技術があります。これは、麺棒で生地を巻き取り、転がすように跳ね上げさせ手早く延していく技法です。蕎麦打ちの場合は肉分け、本延し等、薄く延して行く中でも工程が細分化されています。
機械製麺は迅速かつ均一に麺が打てるため、大量生産・品質維持を考えれば非常に合理的なのです。
しかし、私は手延しにこだわりたいと思います。生地の完成度は湿度や気温、手技によって変化します。生地の状態を確認しながら、うち上がりに向かって延し具合をコントロールできてこそプロだと考えます。

 

切り

駒板と麺切り包丁を使って、うどんを均一に切る作業です。駒板を使う時は包丁の腹で
駒板を押し、空いたスペースを包丁で切る。つまり、駒板の押され具合が麺の太さという事です。この作業は理論ではなく練習が必要です。力を抜き、数をこなせば、必ずできるようになります。駒板の抑え具合も強すぎると麺が潰れ、弱すぎると麺幅をコントロールできません。ゆっくり、繰り返し練習しましょう。

 

茹で

麺類を茹でる時はたっぷりのお湯で茹でる事が鉄則です。茹で湯が少ないと麺が対流せず、茹で具合が不揃いになります。特にうどんの場合は麺一本に重さがあるのでしっかりと対流させることが大切です。
また、蓋をすることが重要で麺が鍋の中で蒸される状態になるのでふっくらとした仕上がりになります。
最後に茹で上がりの目安として、ちぎってみて芯が少し残っている状態がベストです。
小麦の香りと・塩気を感じられてより一層美味しい麺が茹で上がります。

 

簡単♪美しいうどんの盛付!!

うどんだけでなく、そば・つけ麺など・麺類を美しく盛ることで商品価値が高くなります。
そして、何よりも食欲をそそそります。
ざるうどんやぶっかけうどんは、麺の丁寧なほぐしやねじり方で様々な形ができ、バリエーション豊富です。
トッピングも変われば、メニューのイメージも変化するので、これに合わせて、盛付け方を変えるだけで差別化できます。
かけうどんの場合は汁が多く入っているので自由度が少ないですが、折りたたんで麺線を美しく見せる事が有効です。